
「カメラのフォーマットをフルサイズカメラにするかどうか迷っているんだけど、フルサイズにして後悔しないかな?みんなフルサイズはよくボケるとか画質がいいとかっていうけど、機材自体も重たかったりするみたい・・・ぶっちゃけどうなの!?」
もうフルサイズはいらない?
本記事では、マイクロフォーサーズ、APS-C、フルサイズの異なるセンサーサイズのカメラを使ってきた筆者が、本当にフルサイズカメラが必要かどうか、考えをまとめました!
筆者の機材使用遍歴
- フルサイズ:D3→D3s→D4s→D5→D750
- APS-C:D7100→D90→D7200→D500→X-T4
- マイクロフォーサーズ:E-M5-mark2 E-M1-mark2 E-M1X
この記事ではそれらの経験をもとに、フルサイズカメラのメリットとデメリットも含めて紹介します。
ぜひ機材選びの参考にしてください!
【おさらい】フルサイズとは?

出典:SONY公式サイト(https://www.sony.jp/camera-biz/knowledge/basic_knowledge02/)
「フルサイズ」とは、カメラのセンサーサイズ(撮像素子)の一つで、昔のフィルムカメラの標準だった35mmフィルムと同じ大きさのセンサーです。
フルサイズセンサーは撮影した写真により多くの光を取り込めるため、背景をきれいにぼかす「ボケ」効果や、暗い場所での撮影に強いのがフルサイズの大きな魅力です。
ミラーレス一眼の主流である、フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズ(4/3)を中心にしつつ、フルサイズカメラの本題に入ります!
【理由】フルサイズカメラを買って後悔する人

フルサイズが必要ない人は?
フルサイズカメラは多くの人にとって憧れの存在!背景もよくボケるし、高画質で撮影できるのは大きな魅力です。
しかし、高い機材を購入したにも関わらず、手放して後悔してしまう人も少なくないのが現実。
SNSを中心に、フルサイズを購入して後悔した人の意見は次の通り。
- フルサイズ用のレンズはとにかく高い!
- 買ってからわかったけど望遠撮影に向いていない!
- カメラが重たくて、持ち出す機会が減ってしまった!
特に、「フルサイズカメラのレンズは高い」に関しては多くの意見が見られたので、それぞれの意見を順番に深掘りしていきます。
①:フルサイズ用のレンズは高価
フルサイズカメラ用のレンズは、APS-Cのレンズと比べると価格が高めに設定されています。
主要メーカー各社のミラーレス一眼カメラ、標準レンズの価格比較
| メーカー | フォーマット | レンズ名 | 価格 |
|---|---|---|---|
| ソニー | APS-C | E 16-55mm F2.8 G SEL1655G |
140,000円 |
| フルサイズ | FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM |
220,000円 | |
| ニコン | APS-C | NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR |
35,000円 |
| フルサイズ | NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 |
44,500円 | |
| キヤノン | APS-C | RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM |
38,500円 |
| フルサイズ | RF 24-50mm F4.5-6.3 IS STM |
45,500円 |

同じような焦点距離・F値でも、APS-Cレンズとフルサイズレンズで比べると価格差が大きいね。
オリンパスやパナソニックなど、マイクロフォーサーズのレンズは画質面ではフルサイズに劣りますが、上位レンズの価格がかなり安めです。
F2.8の標準レンズで比較した場合
| メーカー | フォーマット | レンズ名 | 価格 |
|---|---|---|---|
| ソニー | フルサイズ | FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM |
220,000円 |
| ニコン | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S |
264,000円 | |
| キヤノン | RF24-70mm F2.8 L IS USM |
300,000円 | |
| オリンパス | マイクロフォーサーズ | M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II |
86,000円 |

フルサイズのレンズって値段めっちゃ高い!でも画質はすごくいいんだろうね。
②:望遠撮影に向いていない
APS-Cやマイクロフォーサーズに比べると、フルサイズカメラは望遠撮影に不利です。
カメラはセンサーサイズによって撮影倍率(画角)が違うため、同じ焦点距離のレンズを装着しても撮影できる画角が異なります。
| センサーサイズ | 70-300mmを装着した場合 |
|---|---|
| フルサイズ | 70-300mm |
| APS-C(1.5~1.6倍) | 105-480mm |
| マイクロフォーサーズ(2倍) | 140-600mm |
このように、APS-Cではフルサイズ比で約1.5倍。マイクロフォーサーズでは2倍の焦点距離となります。
そのため、超望遠を必要とする野鳥撮影などでは、オリンパスなどのマイクロフォーサーズカメラが人気を集めています。
ただし、広角側も含めて全体の倍率があがるため、センサーサイズが小さいと広く撮影したい時に不利です。
③:フルサイズカメラは重たい!?
機種によりますが、フルサイズカメラは大きくて重たくなりがちです。
カメラだけでなく、性能の優れた良いレンズも大きく重くなる傾向にあるのがフルサイズ!
重たくて持ち出しづらいからといって、撮影機会が減ったらせっかくのカメラが勿体無いです。
購入前には重さもイメージしつつ、カメラバッグの大きさも合わせて検討する必要があります。
【原因】購入後の後悔を生む「フルサイズ症候群」とは?

なぜフルサイズカメラを買って後悔する人が生まれるの?
それは「フルサイズこそが絶対に一番良い」という、フルサイズ至上主義的な考え方が根強くあるからです。
「プロはフルサイズを使っている」
「フルサイズでないと綺麗な画像は撮れない」
「値段が高いほど写りが優れている」
こんな風に惑わされ、自分の使う状況や目的を考慮せず、機材のスペックだけで選んでしまうと失敗の原因になりやすいです。
今選ぼうとしているミラーレスカメラの性能が、2022年以降発売のモデルであれば、APS-Cやマイクロフォーサーズでも十分に綺麗な写真が撮れるレベルに上がっています。
もし、自分にとっての「良い写真」が「綺麗なボケと高感度耐性(暗いところでも高画質)」でないなら、フルサイズにこだわる必要はありません。
【フルサイズカメラを買って後悔する人】の根本原因は、機材の性能を求めすぎることです。
【理由】フルサイズカメラを買っても後悔しない人

フルサイズカメラを買っても後悔しない理由に挙げられるのが、圧倒的な画質の良さです!
小さいセンサーサイズのカメラと比較すると、フルサイズカメラは写真の出来上がりが全く違います。
後悔しなくなる主なポイントは次の4点!
- 背景がよくボケる!
- 暗いところでキレイに写る!
- ダイナミックレンジの幅が広い!
- 迷いがなくなる!
①:背景がよくボケる!
初めてフルサイズカメラを手にすると、小さいセンサーに戻れないほど感動します!
なんといっても写真のボケが美しく表現できるので、被写体が浮き上がるような作品や、手前のボケを活かした雰囲気のある写真を撮影しやすくなります。
APS-C以下の絞り開放で得られるボケの量は、どうしてもフルサイズに叶いません。
次の表を参考にすると、いかにフルサイズカメラが有利かがわかります。
| センサーサイズ | F1.8レンズを装着した場合 |
|---|---|
| フルサイズ | F1.8 |
| APS-C | 約F2.5(被写界深度フルサイズ換算) |
| マイクロフォーサーズ | 約F3.5(被写界深度フルサイズ換算) |
このように、同じF値のレンズを装着しても、センサーサイズによってピントが合う範囲(被写界深度)が異なります。
そのため、ポートレートやコスプレ撮影など、より多くのボケ量が必要な撮影はフルサイズカメラが圧倒的に有利!
反対に、物撮りなど、ピントを前後深くに合わせるような撮影ではセンサーサイズが小さいカメラが有利です。

このあたりの知識はけっこう重要かもね!
②:暗いところでキレイに写る!
センサーサイズが大きいカメラは高感度ノイズが発生しづらくなります!
暗い環境下など、全てのカメラはISO感度を上げて撮影すると、ある程度ノイズが発生します。ノイズの量は機種によってさまざまですが、センサーが小さいほど目立ちやすい傾向にあります。
ノイズがあると被写体のシャープさが損なわれるため、フルサイズカメラは単純な画質面で有利。
また、動体撮影におけるAF性能が優れているのもポイントです。
③:ダイナミックレンジの幅が広い!
フルサイズの魅力はダイナミックレンジの幅が広いこと!
ダイナミックレンジとは、カメラが一度に捉えられる「最も明るい部分」と「最も暗い部分」の明るさの幅を指します。簡単に言うと、明るい空と暗い影が同じ写真の中でどれだけ鮮明に写るかを示す指標です。

なので、ダイナミックレンジが広いカメラは「明るい部分が白飛びせず、暗い部分が黒つぶれしにくい」という特性があり、センサーサイズが大きい方がその幅が広い傾向にあります!
④:迷いがなくなる!
APS-Cやマイクロフォーサーズのカメラを使っている人は、フルサイズカメラの購入を一度は検討したはずです!
広角撮影や高感度、美しいボケ表現に憧れて、実際に買い替えた人も多いはず。
一度フルサイズカメラを購入すると悩みや迷いがなくなり、心置きなく作品作りに集中できるかもしれません!
カメラを仕事で使うなど、絶対的な性能が必要な状況であれば、安心材料としても重要です。
【まとめ】フルサイズは買い?どっちを選ぶべき?
今回は、フルサイズカメラの購入に迷っている人に向けて、メリットやデメリットを解説しました! フルサイズカメラは背景のボケや高いISO感度でのノイズ軽減など、画質面での優位性が特徴です。
一方で、レンズを含めた機材の価格が高く、重量も増えるデメリットは無視できません。
「フルサイズに憧れる」という理由だけで、最初から高額な機材を一式そろえるのはちょっとリスキー。
そこで、目的別におすすめを整理してみます。
できるだけ予算を抑えて、気軽にカメラを始めたい人
→ APS-C、マイクロフォーサーズ、または中古の一眼レフがおすすめ。
十分に高画質で、初心者でも気軽に撮影しながら学べます。
撮りたい作風がはっきりしており、フルサイズ特有のボケ表現がどうしても必要な人
→初めてならいきなり購入せず、まずはレンタルで試してから判断するのもおすすめ。
お店で試すのには案外限界があります。
APS-CにはAPS-Cの良さがあり、フルサイズも良さがあるため、撮影スタイルに合わせてじっくり検討してみましょう!


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